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こんにちは!うるま市にあります学習塾ベンガルです!
きょうは夢中で読んだ本を紹介したいと思います。
それは『嫌われた監督』!
タイトルが強い!
そう!強い!
話題の書だったので書店で見かけた人も多いのではないでしょうか。
以前、落合監督の『采配』という本を読んだことがあって好きになったんですよね。てことで手に取ってみたわけです。
(元監督ですが、リスペクトをこめて落合監督と書きます!)
これがまたスポーツの枠をこえて、人間としての在り方を考えさせられる名作だったのでここに紹介したいと思います。
落合監督を知らない中学生も多いでしょう。
2010年代にプロ野球の中日ドラゴンズを率い、8年で4度のリーグ優勝の常勝チームへと変革させた名将です。
オレ流と称されたり、言葉少なく謎の多い監督でした。
オレ流は聞いたことあるぞ
はやっていたよね…笑
淡々と勝利をつみ重ねていくスタイルは、面白みがないと批判を受けるほどのもの。
しかしそんな声すらも置いていき、勝利とその先へと進み続ける落合監督には狂気めいた執念と空虚さを感じてしまいます。
「別に嫌われたっていいさ。俺のことを何か言う奴がいたとしても、俺はそいつのことを知らないんだ」
『嫌われた監督』鈴木忠平(文藝春秋/2021)97ページ
これだけぶ厚い本ですが、落合監督の言葉は多くはありません。
その言葉数の少なさが謎を呼び、選手やコーチの回想から落合監督の実像に迫っていく流れはさながら推理小説のようであっという間に読めてしまいます。
ぶ厚いな…
これで売れてるんだから、すごいってことガル!
スポーツ雑誌の連載をまとめて単行本化したようですが、文学的な文章が散りばめられており、記者の孤独と監督の孤独が交差するシーンには胸が熱くなるものがあります。
批判され、嫌われ、つぶされかけ、それでも自分の信じる道を生きた落合監督。記者たちを寄せ付けず、選手とも一定の距離を貫いた落合監督。
それは弱者にとってのチャンスでもありました。
個として必死に生きているかどうか。個として輝いているかだけが問われたのです。
記者として末席に甘んじていた著者も落合監督に認められます。
「お前、ひとりか?」
同書96ページ
(中略)
「俺はひとりで来る奴には喋るよ」
落合の前には指定席もなければ、席次表もない。
同書95ページ
選手にもたしかな技術と個としての自立を求めました。
自己献身が是とされる野球においても、チームのために己を犠牲にすることをゆるさず、自分のために仕事をすることを求めます。
「俺がここの監督になったとき、あいつらに何て言ったか知ってるか?」
同書449ページ
(中略)
「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれって、そう言ったんだ。勝敗の責任は俺が取る。お前らは自分の仕事に責任を取れってな」
時にはチームのために己を犠牲にしたプレーをする選手を叱責したといいます。
「いいか、自分から右打ちなんてするな。やれという時にはこっちが指示する。それがない限り、お前はホームランを打つこと、自分の数字を上げることだけを考えろ。チームのことなんて考えなくていい。勝たせるのはこっちの仕事だ」
同書309ページ チームのためのバッティングをした和田への言葉
読み進めるうちにリーダー像だけではなく、組織の在り方、人としての生き方まで考えさせられます。
マジで冷徹なだけでなく、徹底的な合理主義なのです。マジで。
「でもな、負けてわかったよ。それまでどれだけ尽くしてきた選手でも、ある意味で切り捨てる非情さが必要だったんだ」
同書228ページ
「監督っていうのはな、選手もスタッフもその家族も、全員が乗っている船を目指す港に到着させなけりゃならないんだ。誰か一人のために、その船を沈めるわけにはいかないんだ。そう言えば、わかるだろ?」
同書229ページ 日本シリーズでの完全試合を目前でのピッチャー交代を暗示する記者とのやりとり
そして個としての自立、プロとしてのたしかな仕事は自分自身へも向けられるものなのです。
それと同時に、私の前にいる落合は限りなく人間だった。最初から冷徹なマシンのように決断したのではなかった。血が通っている限り、どうしようもなく引きずってしまうものを断ち切れず、もがいた末にそれを捨て去り、ようやく非情という答えに辿り着いた。
同書 229ページ 日本シリーズを制した後の空っぽの落合を見ての記者
そうやってプロとしての仕事を果たしてくれる選手たちを日本一へと導くために己の心を削り、勝利を追求しちゃったのです。
もはや「苦しくないんだろうか?」と心配でなりません!孤独の中でプロとしての仕事に徹する落合監督の姿におそろしさしか感じないようになっていきます!
おそろしい奴だな!
「畏怖」という言葉がぴったりの監督ガル
最後にすこし長めの引用をして終わりにしたいと思います。
冷酷で非情なイメージの強い落合監督ですが、野球と勝利という言葉で多くのことを選手と語りあってきたことが垣間見えるシーンです。
「ただな……」と指揮官は続けた。「これからも下手な野球はやるなよ。自分のために野球をやれよ。そうでなきゃ……俺とこれまでやってきた意味がねえじゃねえか」
同書468・469ページ 最後の日本シリーズ敗退後のチームへの言葉
そう言うと、落合は少し上を見上げた。その目には光るものがあった。
失神するほどのノックを浴びせかけられた森野が目を真っ赤にしていた。
日本一と完全試合をかけた史上最も過酷なマウンドに送り出された岩瀬が、真一文字に結んだ唇を震わせていた。
室内に言葉はなかったが、一人一人の雄弁な感情によって満たされていた。
このチームはいつから、これほど熱いものを内包していたのか。
気づけばあっという間に読み終えてしまいました。
この本を通して落合監督をますます好きになったのは言うまでもありません。こんな生き方は絶対にできない。だけど、どこか心に残ってしまう。
スポーツ指導や戦術論をこえた、監督としての生き方が描かれ、読む者に人間としての在り方を問うてくるすばらしいドキュメンタリーが展開されています。
いつか『嫌われたベンガル』という本が出るぐらい冷徹に勝利を追求していきたいと思います。(できない)
あなたもぜひ手に取ってみてください(´∀`)
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