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こんにちは!うるま市で開校予定の学習塾ベンガルです!
今日は久しぶりに小説を読んだので読書ログをつけておきます。
はじめての小説ログ!
主人公である西川は大学生。割と小ぎれいな服を着ていて、女の子にもそこそこモテる大学生。一見普通の大学生だけど、少し風変わりな内面をもっています。
西川の大学の友人。よくつるんで遊んでいるようす。普通の大学生でストーリーが進むにつれ、狂気に陥る西川とのコントラストになっています。
西川が想いを寄せる女性。正直、西川がおかしくなってしまうので、好きなのかどうかも確信が持てない。心の浮き沈みがある女性のようで、こちらも西川の狂気ぶりが人間の情愛とかけ離れたものになっていくことを際立せます。
主人公が拳銃を拾うシーンからはじまります!
普通の大学生として生活を送ってきた西川はある時、ひょんなことから拳銃を拾います。事もあろうにその拳銃を持ち帰ってしまうところからストーリーは始まります。
読後感が重いガル
ここからは拳銃と西川の関係について。特に西川の独白から引用していきたいと思います。
西川は拳銃を拾って持ち帰り、自宅で大切に保管します。最初の内は、良かったものの…
私はそれを使って、誰かを脅すこともできたし、誰かを守ることもできた。人を殺すこともできたし、簡単に自ら死ぬことさえできた。その可能性を手中に収めたこと、その刺激の固まりこそが重要であり、実際にそれをするかどうか、したいかしたくないかは問題ではなかった。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P25
何でもできるということに酔いしれてたんだニャ
拳銃には弾が入っていました。次第に西川は「撃つ」ということを意識しはじめます。
私はそうやって、拳銃を撃つという行為を自分の中で楽しんでいたが、しかしそれは段々と、まるで自らが増殖したように、現実的な影を帯び、私を悩ませるようになった。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P67
拳銃を撃つという行為は、それ自身が人格をもったように、早く実現されることを私に迫り、私はその存在に時折気味の悪さを感じた。私はその自分への要求が段々と耐えられないものに変わるのを感じ、それを打ち消す為にも早く撃たなければならいないような、そんな思いを抱いていた。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P88~8
うわわわわ!撃つ気まんまんじゃん!
いつの間にか「撃て」という拳銃の声に悩まされるようになるのです。
西川はどんどん狂っていきます。拳銃に支配され、おかしくなっていってしまいます。
私は、もう一度戻ることを思った。拳銃を発見した時の状態に、私と拳銃がある意味で、よくわからないが、対等だった状態に戻ることを思った。しかし、それはやはり難しかった。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P88~89
私は拳銃をしっかりと握った。私は今まで、こんなにも何かをしっかりと握ろうとしたことはなかったような、そんな気がした。拳銃に好かれたいと思い、その握る手に力を込めたが、拳銃は何の反応も示さなかった。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P101
もはや拳銃に支配され、拳銃に動かされるようになっていきます。
拳銃に好かれたいって感じで相当おかしくなってきます。
西川は発砲します。
私は、拳銃と一体になったような、そんな感覚に覆われていた。私は自身の体ごと拳銃の一部になった。この、圧倒的な存在感、意思をもった拳銃と一体になったその全身の感覚は、今までの私が感じたことのない程の、快感だった。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P106
私は至上ともいえる快感を発見し、味わった。私は自分にそれをもたらした拳銃に感謝し、これの為なら何をしても構わないと思った。私は、この思いはきっと、愛情というものなのだと思った。部屋に帰ったらしっかりと磨くことに決め、早くそれをしたいと思った。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P108
発砲によりと拳銃と一体になり、西川は至上の快感を得ます。しかも愛情まで感じるというすさまじさ。
もはや狂人だな…
終盤、ついに西川は気づきます。拳銃に支配されていたことに気づくのです!
よくやった!おかえり主人公!
そして、私は拳銃を使っているのではないのだ、と思った。私が拳銃に使われているのであって私は、拳銃を作動させるシステムの一部に過ぎなかった。私は悲しく、そして、自分が始終拳銃に影響され続けていたことを、思った。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P168
人がつくったものに、私は始終影響され、私の人生というもの、私がそれを重さをおいていなかったとしても、私の人生を、犠牲にしていたことを思った。
中村文則『銃』(河出文庫/2012) P168
西川は拳銃に侵されていわが身ををふりかえり、拳銃断ちともいえる生活を送ります。そうやってラストへと向かっていくのですが…。
ここで終わればよかったんですけどね…
これで終わりかと思った残り3ページ。衝撃の結末が待っています。この辺りを書くのは野暮ですので、ぜひお読みください 笑。
今回、銃に操られてしまった西川を見ていて感じたことを書き連ねてまいきます。
西川は銃に操られてしまった不幸な主人公と言えます。普通の人は拳銃なんて拾わないですよね。だからよくわかりません。ここまで狂っちゃうのかどうかは。
では拳銃でなく、スマホならどうでしょう?または会社や家族だったら?
西川にとって拳銃は意思を持ち、存在感を放っています。
普通の人にとって意思をもち、存在感を放っているものといえば、日常的に使うスマホなどの道具。同僚や家族、所属する組織だったりするのではないでしょうか。僕でいえばこのブログとかですかね。
自分が親近感を持ち、存在や意思をにリスペクトを感じているものたち。その意思を自分が体現することの喜び。先生にほめられたり、上司にほめられたり、SNSでいいねをもらったり。そういう喜びも結局は「他者の意思」を体現する喜びであり、操られ一体となる快楽ろ言えます。
操られ一体となる楽しさや嬉しさも、他者(自己以外のもの)に操られるという点では同じものだと言えます。操られることの快楽 is ある。
そんな風に考えると、何か西川を他人事として済ませられない気がしています。
自分で考える。自分はこれがしたい。自分が願う。自分が意図する。この本を読んで、その難しさを考えました。
実は自分が「拳銃的なもの=支配的なもの」に意思を侵されていないか。自分で望んだつもりが、いつの間に支配されて言わされたりしていないか。じぶん以外のものにじぶんの行動を先回りされていないか。
僕だったらブログを書いてるつもりが、いつの間にかブログに書かされたりしてないか。
書かなきゃという強迫観念から書いてることも結構ある…笑
それ完全に「書かされてる」じゃん…笑
そう考えていくと、案外「自分の意志=自我」というものがすごくあやふやなものだということを痛感しました。いつの間にかじぶんの持ち物や所属する組織や、人間関係といったものに動かされていることって結構あるんだと思うんですよね。
最後のシーンでの西川の台詞がすごくヘビーな感じで残ってます。「これは違う」「おかしいな」という言葉が。
お楽しみいただけたでしょうか。今日は初の小説の読書ログとなりました。今後はもう少しネタバレを防ぎつつ書きたいと思います。ちなみにラストはびっくり仰天しちゃうものだったので、読後感はダークでヘビーでした。
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