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沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?

めちゃくちゃ煽ってる感じのタイトルですが、そういう本の紹介と感想文です(´∀`)

沖縄に住む人なら誰しも一度は訪れたことのある沖縄美ら海水族館。

日本全国にその名を轟かせる大人気の観光スポットでもあります。

展示される魚たちの美しさやかわいらしさ、巨大水槽で再現された力強く豊かな沖縄の海の魅力に圧倒されること間違いなし!

館内を歩いていると説明パネルや資料の展示にも目を奪われます。

そう、沖縄美ら海水族館は動物の展示だけでなく、研究施設でもあり自然科学(とりわけ海の生き物)に関する知識を伝えてくれる「海の博物館」でもあるんですね。

水圧についての展示

沖縄美ら海水族館は高いレベルでの研究を行い、僕たちにわかりやすく伝えれくれているありがたい存在でもあるんです。

目次

沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか?

美ら海水族館は水族館としてあるだけではなく、研究施設でもある。

入り口付近には美ら海水族館が発見した新種の生物などの紹介パネルも置かれています。

研究施設としての心意気を書き記しているのが、今日紹介する『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか? サメ博士たちの好奇心まみれな毎日』です。

著:佐藤 圭一, 著:冨田 武照, 著:松本 瑠偉
¥1,980 (2023/02/13 17:42時点 | Amazon調べ)

研究者としての水族館職員の魂の声!

まず科学的な研究といえば筋道立てて考える=論理的な思考が重要視されるように思いがちですが、目の前の生き物の不思議さを発見し、驚く力が必要だといいます。

この本では、謎は見つけるものと伝えます。

知的好奇心をもって接することで不思議を見落とさない。不思議に感じた部分を深掘りしていくということですね。

科学の本質は論理的思考だと言われることがある。しかし、科学に身をおいている人間からしてみれば、この説明は研究という営みの本質を十分に捉えきれていないと思う。少なくとも水族館においては、論理的な思考能力があれば研究できるかといえば、全くそんなことはない。それよりずっと重要なことは、目の前で起こっている現象から何が不思議であるかを発見する能力であると思う。謎はもともと存在しているものではなく、あなたが発見することで、初めて目の前に立ち現れてくるものだからである。その能力は、むしろ直感や嗅覚に近いもので、論理的思考とは対極にあるものだと私には感じられる。

『沖縄美ら海水族館はなぜ役に立たない研究をするのか? サメ博士たちの好奇心まみれな毎日』141ページ

そして「何かの役に立つものではない!」と断言してしまいます。笑

水族館が研究や保全の場であることは言うまでもないが、新しい知見と好奇心を以って、皆さんの知的欲求に応え、生活を豊かにすることができれば本望である。役に立つか立たないかは別として…。

同書 222ページ

私たちはよく取材やインタビューを受けることがあるが、いつも決まって「その研究はどのように役立つのか?」と聞かれる。以前は、「将来の研究や保全の基礎になる」とか、「何か有用な物質の発見につながるかもしれない」など、ありふれた理屈をつけて答えていたが、最近では堂々と「特に役立ちません」とキッパリ答えることもある

229ページ

でも、この役に立つか立たないかというのはとってもつまらないものだと僕は感じます。

まあ役に立つことをやった方が「お得」なのでしょうが、役に立たないことを味わったりすることの方が楽しい気もしますし。

スポーツでも旅行でも友達とのお茶会でもゲームでも。

役に立たないけどおもしろい研究が見る者の知的好奇心をくすぐることで科学的探究への道につながっている(といいなあ)伝えてくれています。

理系離れが進んでいるといわれる昨今、水族館は海洋リテラシー教育の場として、また海洋科学への入り口としての大事な役割を担っている。我々が行っている“役に立たないけど面白い研究”は、人々が科学を身近なものとして理解するための大事なコンテンツになる。

235ページ

沖縄美ら海水族館は、まさに大人から子供まで、そして動物に興味がない人から専門家まで、すべての人々がそれぞれの立場に応じて、「知的好奇心を楽しむ場」でありたいと考えている。何の役にも立たない研究をしている我々サメ博士たちが、その役割の一端を担えるのであれば、心から嬉しく思う。

235ページ

「役に立つもの」を支える無数の「役に立たないもの」

その一端を担い、日々の研究を続けるサメ博士たちの気概にじーんとしました。

「役に立つ」とは?

「役に立つのか」と言った時、言葉にはしていませんが、「私の(私たちの)」が隠れている気がします。「私の生活に役に立つのか?」「私たちの生活がどう便利になるのか?」ということですね。

ひとりの人間はせいぜい80年〜100年の間、ある程度きまった生活範囲で生きていて「その人の生活に役に立つ」というのはきわめて限定的な「役に立つ」であると言えます。

学問というのは一人の人間をこえた射程をもつもの。中学の数学なんて何百年の歴史を持っています。で、どこかで世の中の役に立ってしまっているわけで。(僕の生活に直接役に立っているかは別として)

役に立つかどうかよりも燃えるかどうかが生き方。好きかどうかが原動力。そういった人たちのエネルギーと行動によって、僕たちは新しい世界を見ることができているんですね。

役に立つのかどうかという視点だけでは、何も前に進まなくなってしまう気がします。

結局、役に立つかどうかは時代や状況によって変わってくるもの。無数の役に立たないものを積み重ねていくしかないんじゃないか。

この本を読んでそう思ったりしました(´∀`)

著:佐藤 圭一, 著:冨田 武照, 著:松本 瑠偉
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